震災でわかった日米の競争力格差
津波と原発事故が複合した日本の震災の深刻さが明らかになる中、90年代にアメリカが日本に
経済的に勝利したという考えもまた、実際には神話に過ぎなかったことが明らかになりつつある。
ボルボは今週、日本製のナビゲーションとエアコンの在庫が10日分しか残っておらず、工場が
操業停止になる可能性があることを明らかにした。ゼネラル・モーターズ(GM)は先週、
シボレーコロラドやGMCキャニオンを組み立てているルイジアナ州シェリーブポートの
従業員数923人の工場を、日本製の部品が不足しているために閉鎖すると発表した。
アーカンソー州マリオンでは、ピックアップトラックのタンドラなどトヨタ車の後部車軸を作っている
日野自動車の製造工場が、日本から輸入されるギアなどの部品が急激に減っていることで
操業停止の危機に瀕している。
他の産業でも事情は同じだ。半導体を製造する設備の大半が日本だけで作られているか、
または主として日本で作られている。半導体の回路を焼き付けるステッパーは、3分の2が
ニコンかキャノン製だ。携帯端末やラップトップパソコンに使われる樹脂「BTレジン」の約90%、
世界のコンピューターチップに使われるシリコンウェハーの60%は、日本から輸入されている。
日本の混乱が長引けば、アップルやヒューレット・パッカード(HP)は深刻な問題に直面しかねない。
今まで誰も気にしたことがないような製品、例えば小型マイクやメッキ素材、高性能機械、
電子ディスプレイ、それにゴルフクラブやボーイングの新型旅客機ドリームライナーの羽に使われる
炭素繊維など、すべて日本だけで作られているか、または主に日本で作られている。
以下略
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2011/03/post-2023.php