●高効率の電源回路を開発した大分大学工学部の西嶋仁浩助教
近い将来、かさばって面倒なACアダプターが不要になる? 大分大学工学部電気
電子工学科の西嶋仁浩(きみひろ)助教(36)が、パソコンやデジタル家電を
省エネ化、軽量小型化できる電源回路を、TDKのグループ会社と共同開発した。
現在はコンセントから取り込んだ電圧を、それぞれの機器に適した電圧へ変換させる
ため、複数の回路を経由させなければならないが、高効率の新回路を使えば回路の
数が半減でき、アダプターも省くことができるという。
一般家庭やオフィスではコンセントから100ボルトの「交流」を取り込み、アダプ
ターを使って「直流」に変換、電圧を下げてパソコンなどの機器を動かしている。
だが、一気に電圧を下げるのは難しく、複数の回路を経由させ何段階かに分けて
下げる必要があった。
新回路は従来のタイプより4倍以上も電圧を下げることができ、その分、経由させる
回路を減らすことが可能。電圧変換の過程で熱として放出され、無駄になっていた
エネルギーを約40%削減できる。低コスト化も期待できるという。
実用化すれば、アダプターを使わず、携帯電話をそのままコンセントにつないで
充電することができそう。パソコンの頭脳に当たるCPUの動作電圧は今後、低下が
見込まれており、こうした次世代型の機器にも対応できるという。
「アイデアをモノとして作り上げるところに苦労した」と西嶋助教。開発は独立行政
法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(神奈川県)の助成を受け、TDK
ラムダ(東京都)と約2年がかりで行った。
今後、太陽光発電で生み出した直流を、交流に変換することなしに、家庭内のパソコン
などに供給する新システムの普及が進むとみられており、「その際にも今回の技術が
活用できる」と西嶋助教。電気自動車やハイブリッド車の電源システムへの活用も
期待されている。
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https://www.oita-press.co.jp/localNews/2010_128824900954.html